2008年03月03日

NPO法人vs新公益法人か

事業コーディネーターのしばです。

2月29日にポストしました「NPOの知的戦略勉強会」の際に、偶然、新しい公益法人制度の話が出まして、いろいろ資料を探しておりました。

そうしましたら、和歌山県総務学事課の「公益法人制度改革について」に内閣府の資料へのリンクと共に結構くわしく掲載されていましたので、一通りながめてみました。

直接、NPO法人の制度に関係してきそうなところもみつかりましたので、ご紹介します。

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この新しい公益法人制度は、社団法人と財団法人に適用されるもので、今年12月1日に施行されます。

大きく変わる点として、これまで行政の許認可制だった社団・財団法人が、法律に基づく要件を満たしていれば登記だけで設立できるようになります(一般社団法人・一般財団法人)。そのなかで、第三者機関の認定を受けた法人が公益社団法人・公益財団法人として、現行の社団法人・財団法人とほぼ同じ体制・税制で活動できるようになります。逆に、一般社団・財団は、共益的活動を行う場合の会費等を除くと原則課税となる、という方向で議論が進められているようです。

現行の社団・財団法人は、5年間の猶予期間の間に、一般または公益の社団・財団法人への移行手続きを踏むことになります。

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この公益法人制度改革の概要のなかにNPO法人制度にひっかかる点がいくつかありましたので、ご紹介します。

まず、新しい公益法人制度がおこなう「公益目的事業」が次の23種類に分けられています(出典:公益法人制度改革の概要/行政改革推進本部事務局)。クリックで拡大表示します。

公益目的事業の分類

NPO法人の活動分野はNPO法により17分野にわけられていますが、それよりも6分野多くなっています。同じ公益的活動をおこなう公益法人なのですが、この違いをどう捉えるかが課題となりそうです。

二つ目に「公益法人制度改革の概要」のQ&Aコーナーに以下の文面があります。

Q. 公益目的支出計画が完了していないのですが、解散することになりました。清算後の残余財産はどのように処分したらよいのでしょうか。

A. 公益目的支出計画が完了しない時点で解散した場合は、その定款の定めの如何にかかわらず、解散した法人が公益目的支出計画に従い公益の目的に支出すべき残額があるときは、その残額に相当する残余財産については、行政庁の承認を得て、当該法人の目的に類似する目的を有する公益法人認定法に基づく公益法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、独立行政法人、国立大学法人、大学共同利用機関法人、地方独立行政法人等か、国、地方公共団体に帰属させなければなりません。

今のNPO法では、残余財産の帰属先は、ほかのNPO法人、国・地方公共団体、財団法人、社団法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人に限られています。しかし、財団法人、社団法人自体がこの公益法人制度改革でなくなりますし、NPO法制定後に新たな公益的な法人もできています。
この残余財産の帰属先はおそらく変更となるでしょうし、NPO法の見直し論議のなかでも取り上げられていました。

三つ目に、一般社団・一般財団法人は貸借対照表などの財務諸表を公告しなければなりません(公益社団・財団の場合はどうなのかは資料に記述はありませんでしたが、公益法人認定時には損益計算書等の提出が義務づけられると思われますので、それに代わるか、一般同様公告をする必要があるのは間違いなさそうです)。この公告の方法は「インターネットでも可能」となっています。

現在NPO法人の公告は民法の規定により、官報への掲載が義務づけられています。それも3回必要です(3回の掲載で9~10万円かかるといわれています)。
NPO法人が公告を必要とするのは多くが解散による債務者への通知ですので、一般社団・財団の財務諸表の公告とはわけが違うのですが、とはいえ、費用負担が大きいことや、最近は電磁的媒体による総会招集通知を可能に、なんて議論がでるくらいですから、公告の方法が変わる可能性が高そうです。

公益法人改革にともなう税制がどうなるかはまだはっきりとはしていませんので、NPO法人の税制がどうなるかはわかりませんが、NPO法人の制度自体には何らかの影響が出ることは間違いなさそうです。また、一般社団・財団法人は公証人による定款の承認は必要ですが、登記のみで設立できることから、認証が必要なNPO法人との違いがどうなるか、余計にあやふやになりそうです。

税制がどうなるかわからないという前提ではありますが、日本NPOセンターの山岡副代表理事がひとまずの整理をされていますので、ご関心のある方はそちらもご覧いただければ幸いです。

この件については、わたしたちNPOを支援する立場としてもしっかり勉強していきます。


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